映画「王の男」
◆「王の男」を見てきました。初の韓国映画です!
「チャングムの誓い」が大好きで当時の宮廷の話に興味を持っていたのと、ポスターのイ・ジュンギの流し目にぽーっとなったせいです。
#このポスターって日本向けに作り直されたものだそうです。まんまと引っかかりました
◆映画は、とても面白かった!舞台は16世紀初頭、暴君として悪名高い王・燕山君(ヨンサングン)の時代。
都・漢陽に、幼馴染の旅芸人がやってきた。チャンセンは豪快なアクロバット、コンギルは女よりもなまめかしい演技で観客を沸かせる。
彼らは宮廷をパロディにした芝居で人気者になるが、王を侮辱した罪で逮捕されてしまう。
拷問にかけられそうになったチャンセンは、苦し紛れに「王に芝居を見せたい」と申し出る。王が笑えば罪を免れ、怒れば死罪になるという、一か八かの賭けだ。
王の面前で芝居をすることになった一座だが、恐怖と緊張でガチガチ。王は無表情のまま、ぴくりともしない。
最早これまでか… 絶望しかけたチャンセンの前で、コンギルが勇気を振り絞り、得意の芸を始めた。王と愛妾ノクスを下品に揶揄した寸劇に、王は思わず噴き出してしまう。
気に入られた一座は宮廷に住み込むことを許され、王はコンギルの魅力に夢中になっていくのだった…
当時の庶民の生活が垣間見れたし、古い民俗芸能がたっぷり描かれていて、興味深かったです。ジャグリングや綱渡りといった曲芸、獅子舞、新体操のリボンのような踊り、太鼓やラッパの音楽…
チャングムでもおなじみの宮廷は、豪華絢爛。美しい愛妾や妓生たちの色とりどりの衣装。宴会。王の施政の間は紫禁城のミニチュア版のようです。
◆主人公のチャンセンは、人を引き付けるリーダーシップと、自由を愛し権力に屈しない強い心を持つ男性。
時に嫉妬や苦悩をにじませながらも、コンギルへの深い愛情を貫く魅力的なキャラクターが、重みのある演技で作り上げられていました。
イ・ジュンギ演じるコンギルは、予想していたようなファム・ファタルではなく(それ以前に男だし)、真面目で控えめな若者でした。一般的な美形とはまたちょっと違う気もしますが、芸をしている時の生き生きとした表情と、普段のどこか寂しげな表情のギャップ。優しい微笑み。ふとした時にこぼれる妖しい色気… 彼が周囲の人間を引き付けていくのも頷けます。
燕山君も素晴らしかった!無表情でも、爆笑していても、とにかく怖いんですよね。狂気をはらんだ目が怖い。彼が怖くなくては話が成り立ちませんからね。いい役者さんでした。
◆全編通してぴんと張り詰めた緊張感があり、中だるみすることなく楽しめました。
悲劇と紹介されていた通り、物哀しいお話なのに、ウエットになりすぎずどこか突き抜けた開放感があったのは、主人公が自由な旅芸人だったからでしょうか。得意の綱渡りを披露する「空」が、とても印象に残りました。
心にしみる佳作だと思いますので、興味のある方はぜひご覧になってください。
※※※ ↓↓↓ 以下、映画のネタバレ話です。未見の方は読まないでくださいね ↓↓↓ ※※※
◆王に影絵を見せる時のコンギルの微笑みが、とても綺麗だった…!
静かなシーンなのに、はっとさせられました。王の心とシンクロしてしまった。
その後、王が自ら影絵の人形を操って、幼い頃の悲しい思い出を語ってみせるシーン。疲れて眠った顔に流れる涙。暴君と恐れられる王が、ただの弱い人間としての一面をさらけ出します。
なのに、周囲の人間は誰も彼を理解しようとしない。政治の道具としか思っていない。重臣たちも、燕山君自身に名君になってほしいとは言わず、先王の名を汚さないように、とそればかり…
王がコンギルを寵愛したのは、恋愛や性の対象としてではなく、子どもが一緒に遊んでくれる友だちを欲しがるような、そんな純粋な気持ちだったように思います。実際人形劇やら影絵やら遊んでましたし。
一人きりの孤独な王を、次第に狂気が勝っていっても、コンギルは見捨てることができなかったんですね。
◆チャンセンの口元にある大きな傷の原因は、コンギルだったのでしょうか。
無実の罪をかぶって目をつぶされ、牢につながれたチャンセンが、番人に語って聞かせた昔の思い出。
彼がお屋敷の使用人だった頃、奥様の指輪がなくなった。犯人探しが始まった時、自分がやったと嘘をついたら、罰として口を棒で殴られた、という話です。
物陰でじっと彼の話を聞いていたコンギルが王の元に戻り、いつものように人形劇を見せるのですが、その台詞が「実は、奥様の指輪を盗ったのは、わたしなの」なんですよね。そして、密かに手首を切って自殺を図るのです。
ということは、チャンセンはその頃からコンギルをかばっていたのかしら?
指輪を盗んだと言ったのも、王に芝居を見せると言ったのも、中傷のビラを書いたのは自分だと言ったのも、すべてコンギルのためなんでしょうか。
チャンセン… あんたどこまで献身的なんだ!(T^T
…しかし、どう見てもバレバレなノクスの罠に引っかかる燕山君には参りました(´・ω・`)
◆このお話の時代は「チャングム」の10年ぐらい(?)前なんですよね。
劇中で「燕山君の生母の毒殺」が語られますが、その事件は「チャングムの誓い」冒頭の重要シーンのひとつ。毒を渡したのがチャングムの父親という設定になっていましたよね。
燕山君を廃して中宗を王に立てるというクーデターが勃発する時、中宗に密かに知らせたのは幼いチャングムでしたし。
宮廷での宴会のシーンなんか、きっとチェ尚宮はここにいたんだろうなぁと思ったり。そんな楽しみ方もできました。
◆ジャグリングを真上から撮ったり、綱渡りのシーンで地面を写さずに空を飛んでいるかのように見せたり、カメラワークが面白かったです。
そしてとにかく、ラストシーンのショットが秀逸でした!
身体は死んだとしても、魂は何にも縛られず、自由に空へと飛んで行ったのでしょうか…
旅芸人の仲間たちと一緒に楽しそうに山を下っていくエンディングも、しみじみと心に残ります。
※※※ 以上、映画「王の男」のネタバレ終わり。 ※※※
そういえば、今日&明日は「チャングムの誓い」総集編が放映されますね!絶対ビデオ録るわっ(`・ω・´)
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